子張、行なわれんことを問う
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子張問行、子曰、言忠信、行篤敬、雖蠻貊之邦行矣、言不忠信、行不篤敬、雖州里、行乎哉、立則見其參於前也、在輿則見其倚於衡也、夫然後行、子張書諸紳、
子張、行なわれんことを問う。子の曰わく、言 忠信、行 篤敬なれば、蛮貊(ばんぱく)の邦(くに)と雖ども行なわれん。言 忠信ならず、行 篤敬ならざれば、州里と雖ども行なわれんや。立ちては則ち其の前に参するを見、輿(くるま)に在りては則ち其の衡(こう)に倚(よ)るを見る。夫れ然る後に行なわれん。子張、諸(こ)れを紳(しん)に書す。
現代語訳
子張が、滞りなく事が行われるにはどうしたらいいか質問した。先生がおっしゃった。「言葉に真心があり、行いがねんごろであれば、野蛮人の国であっても、とどこおりなく行われよう。
言葉に真心が無く、行いがねんごろでなければ、たとえ国内の町や村であっても、とどこおりなく行われないだろう。立っている時は、真心やねんごろさと向かい合っているように見え、輿に乗っている時は真心やねんごろさが輿の前に渡した横木に、よりかかっているように見える。
そのような人物であれば、自然とその後にとどこおりなく事は行われよう。
子張はこの言葉を忘れないように帯の前に垂れた部分に書き記した。
語句
■忠信 まごころがあること。 ■篤敬 ねんごろであること。 ■蛮貊の邦 野蛮人の邦。 ■参する 相対す。 ■衡 車の前のほうにわたしてある横木。車と牛や馬を接続する部分。 ■紳 帯の前に垂れたもの。 ■州里 国内の町や村。州は二千五百家。里は二十五家。
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