遠きを致さんには泥まんことを恐る
子夏曰、雖小道、必有可觀者焉、致遠恐泥、是以君子不爲也、
子夏が曰わく、小道と雖ども必らず観るべき者あり。遠きを致さんには泥(なず)まんことを恐る、是を以て君子は為さざるなり。
現代語訳
子夏が言った。一芸一技というこまごました能力・技能にも必ず天下の大道に通じる、見るべき所はある。しかし、そういう芸一技というこまごました能力・技能から出発して天下の大道にまで押し進めるのは、ひっかかりになって(途中で挫折する)心配がある。それだから、君子は一芸一技というこまごました能力・技能は学ばないのだ。天下を治める、大きな道だけを学ぶのだ。
語句
■小道 一芸一技の、こまごまとした技能。 ■遠きを致す 押し広めて天下国家の大事業に至らしめる。 ■泥(なず)む ひっかかりとなる。
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