斉衰の者を見ては、狎れたりと雖ども必らず変ず

【無料配信中】福沢諭吉の生涯
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル

子見齊衰者、雖狎必變、見冕者與瞽者、雖褻必以貌、凶服者式之、式負版者、有盛饌、必變色而作、迅雷風烈必變、

子、斉衰(しさい)の者を見ては、狎(な)れたりと雖ども必らず変ず。冕者(べんしゃ)と瞽者(こしゃ)とを見ては、褻(せつ)と雖ども必らず貌(かたち)を以てす。

凶服の者にはこれに式(しょく)す。負版(ふばん)の者に式す。盛饌(せいせん)あれば必らず色を変じて作(た)つ。迅雷風烈には必ず変ず。

現代語訳

先生は喪服姿の人を見ると、親しい人であっても、必ず容貌をあらためた。冠をかぶった身分の高い人と盲人とを見ると、打ち解けた間柄であっても、必ず礼儀正しい容貌をされた。

喪服の者があれは車上で車の前の横木に手をつく「式(しょく)」の礼を取られた。戸籍簿を持った役人にも式の礼を取られた。立派なごちそうをふるまわれた時は、必ず容貌を変えて立ちあがった。激しい雷や風の時は、神々がお怒りしているしるしなので、必ず居住まいを正された。

語句

■斉衰(しさい) 喪服。 ■狎(な)れたり 親しい間柄。 ■変ず 容貌をあらためる。 ■冕者 冠をかぶっている身分の高い人。 ■瞽者 盲人。 ■褻 打ち解ける。  ■貌(かたち)を以てす 礼儀正しい容貌をする。

■凶服 喪服。■式す 車上で行う敬礼。車の前に渡した横木に手をついてお辞儀する。 ■負版 戸籍簿。 ■盛饌 立派なごちそう。■作(た)つ 立つ。 ■迅雷風烈 雷が鳴る時。風が激しい時。

前の章「寝ぬるに尸せず」|次の章「車に升(のぼ)りては

現代語訳・朗読:左大臣光永

【無料配信中】福沢諭吉の生涯