絵の事は素を後にす。
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子夏問曰、巧笑倩兮、美目盼兮、素以爲絢兮、何謂也、子曰、繪事後素、曰、禮後乎、子曰、起予者商也、始可與言詩已矣、
子夏問うて曰わく、巧笑(こうしょう)倩(せん)たり、美目盼(はん)たり、素以て絢(あや)を為すとは、何の謂いぞや。子の曰わく、絵の事は素を後にす。曰わく、礼は後か。子の曰わく、予(わ)れを起こす者は商なり。始めて与(とも)に詩を言うべきのみ。
現代語訳
子夏が質問した。「笑った口元が美しく、目がぱっちりと美しい。そこにさらに化粧をするから、いっそう美しくなるのである」というのは、どういう意味ですか。先生がおっしゃった。絵にたとえて言うと、下地の上に胡粉を塗って仕上げるようなものだ。子夏が言った。それを人で言うと、真心の下地があって、その上に礼儀作法の仕上げをするということですね。先生がおっしゃった。私を奮起させてくれるのは商だよ。それでこそ一緒に詩を論じることができる。
語句
■子夏 孔子の門人。姓は卜(ぼく)、名は商。子夏は字。 ■巧笑 笑ったさまが美しいこと。 ■倩 口元の美しいこと。 ■盼 白目と黒目がはっきりしていること。 ■素 化粧に使う胡粉。 ■絢を為す 美しく仕上げる。 ■礼 表面にあらわれる礼儀作法。 ■詩 上二句は『詩経』衛風の碩人篇にあるが、下一句は無い。
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現代語訳・朗読:左大臣光永