鳳よ、鳳よ、何ぞ徳の衰えたる

楚狂接輿、歌而過孔子曰、鳳兮鳳兮、何徳之衰、往者不可諫、來者猶可追、已而已而、今之從政者殆而、孔子下欲與之言、趨而辟之、不得與之言、

楚の狂(きょう)接輿(せつよ)、歌いて孔子を過ぐ。曰わく、鳳よ、鳳よ、何ぞ徳の衰えたる。往く者は諌むべからず、来たる者は猶お追うべし。已(や)みなん。已(や)みなん。今の政(せい)に従う者は殆(あや)うし。孔子下りてこれと言わんと欲す。趨りてこれを辟(さ)く。これと言うことを得ず。

現代語訳

楚の国で物狂いのまねをしている隠者で接輿という名前の者があった。その者が歌いながら孔子の車の前を通り過ぎた。その歌に言う。「鳳凰よ、鳳凰よ、どうしてそんなにも徳が衰えたのだ。過ぎたことは諌めることもできない。しかしこれから起こることは、まだ間に合う。やめてしまえ。やめてしまえ。今の世の政に従う者は危ない」

孔子は車を下りて接輿と話そうとした。しかし接輿は走って孔子を避けた。それで孔子は接輿と話すことができなかった。

語句

■狂 物狂いのふりをしている隠者。 ■鳳 鳳凰。天下に道が行われている時はあらわれ、行われていない時は隠れると言われている。ここでは孔子になぞらえている。 ■これを辟(さ)く 「これ」は孔子。 ■これと言うことを得ず 「これ」は接輿。

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現代語訳・朗読:左大臣光永