闕党の童子、命を将なう

闕黨童子將命、或問之曰、益者與、子曰、吾見其居於位也、見其與先生並行也、非求益者也、欲速成者也、

闕党の童子(どうじ)、命(めい)を将(おこ)なう。或るひとこれを問いて曰わく、益者(えきしゃ)か。子の曰わく、吾れ其の位に居るを見る。其の先生と並び行くを見る。益を求むる者に非ざるなり。速(すみや)かに成らんと欲する者なり。

現代語訳

闕党という村の童子が、先生の家で客と主人の間の取次をしていた。ある人がこれを質問して言った。「あの子は学問が進んでいるので取次という大役をお命じになったのですか」

先生がおっしゃった。「そうではありません。私はその子が童子であるのに成人の居るべき所に立っているのを見ました。また年少者は年長者の後ろに従うべきなのに、並び歩いているのを見ました。この子は学問が進んだ者なんかではありません。早く成人の列に加わりたいと背伸びしている者なのです。だから、あえて取次役をさせて、礼というものを学ばせているのです」

語句

■闕党 村の名。 ■童子 20歳以下の総称。 ■命を将なう 客と主人の間の取次をする。 ■益者 学問に長じている者。 ■位 成人が居るべき場所。 ■先生 年上の者。 ■速(すみや)かに成らんと欲する 早く成人の列に加わろうとする。

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現代語訳・朗読:左大臣光永