君、召して擯たらしむれば

君召使擯、色勃如也、足躩如也、揖所與立、左右手、衣前後、贍如也、趨進、翼如也、賓退、必復命、曰、賓不顧矣、

君、召して擯(ひん)たらしむれば、色勃如(ぼつじょ)たり。足躩如たり。与(とも)に立つ所を揖(ゆう)すれば、其の手を左右にす。衣(い)の前後、贍如たり。趨(はし)り進むには翼如(よくじょ)たり。賓退けば必ず復命して曰わく、賓顧みずと。

現代語訳

君が孔子を召して来賓接待の役に任じられると、孔子は顔色が変わり、足は進むことができないようであった。

一緒に接待役に任じられている人たちに挨拶して、その手を右に左に動かして主君の指示を伝えても、衣の前後はきちんと整っていて乱れない。君と賓客の後について走り進むさまは、鳥が左右の翼を広げたように立派であった。

賓客が帰った後は、必ず君に報告しておっしゃった。「お客様は後ろも振り向かず、満足して帰っていかれました」と。

語句

■君召して 君が孔子を召して ■擯(ひん)たらしむれば来賓の役を命じると ■色 顔色 ■勃如 顔色が変わること。 ■躩如 進むことができない。 ■与に立つ所 一緒に接待役を命じられている人々。 ■揖 挨拶をする。 ■手を左右にす 手を左に右に動かして主君の指示を伝える。 ■贍如 整っていること。■趨(はし)り進む 主人が賓客を案内すると、接待係はその後についてを走り進む。 ■翼如 鳥が左右の翼を広げたように立派な様子。態度。 ■復命 報告する。 ■賓顧みず 満足して帰ったということ。

前の章「朝にして下大夫と言えば、侃侃如たり」|次の章「公門に入るに

現代語訳・朗読:左大臣光永