吾れは御を執らん

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逹巷黨人曰、大哉孔子、博學而無所成名、子聞之、謂門弟子曰、吾何執、執御乎、執射乎、吾執御矣、

達巷党の人の曰わく、大なるかな孔子、博く学びて名を成す所なし。子これを聞き、門弟子に謂いて曰わく、吾れは何をか執(と)らん。御(ぎょ)を執らんか、射を執らんか。吾れは御を執らん。

現代語訳

達巷党の人が言った。偉いもんだね孔子は。広く学んで一分野で専門家として名を成すところが無い。先生がこれを聞いて、門弟におっしゃった。私は何を執り行おうか。御者をしようか。弓を射ようか。いや、もっとも賤しい仕事とされている御者をやろう。

語句

■達巷党 党の名。党とは五百家。■名を成す所 一分野において専門家として名を成すこと。 ■執る 執り行う。 ■御 馬を御すること。御者。礼学射御書数を六芸(りくげい)といい、その中でも最低の、賤しい仕事とされた。孔子は自らを御者という賤しい仕事にふさわしいと謙遜しているのである。 ■射 弓を射ること。

現代語訳・朗読:左大臣光永

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