人、己を潔くして以て進まば、其の潔きに与せん

互郷難與言、童子見、門人惑、子曰、與其進也、不與其退也、唯何甚、人絜己以進、與其絜也、不保其往也、

互郷、与(とも)に言い難し。童子見ゆ。門人惑う。子の曰わく、其の進むに与(くみ)するなり。其の退くに与せざるなり。唯だ何ぞ甚だしき。人、己を潔くして以て進まば、其の潔きに与せん。其の往(おう)を保(ほ)せざるなり。

現代語訳

互郷という土地は不品行な地として知られていた。それは孔子の門人たちがこの土地の人たちと共に善を語らうことは難しいくらいであった。ところがこの地で子供が先生に会いに来た。門人たちは戸惑った。(こんな不品行な地の人間にたとえ子供であっても先生がお会いしてよいものかと)先生がおっしゃった。その子がこの場に来たことを買うのだ。その子が以前何をしてきたかなどは、問わない。疑うなど、とんでもないことだ。人が自分の身を潔くしてやって来たなら、過去がどうだろうと、その潔さを買うのだ。ただし、その後でまた罪を犯すなら、それはまた別の話だが。

語句

■互郷 土地の名。行いの悪い土地であった。 ■言い難し 善を言い難いこと。■与する 買う。許す。 ■唯 ■甚だしき ■応 帰った後のこと。 ■保 心に保つ。

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現代語訳・朗読:左大臣光永