聖人は吾れ得てこれを見ず

子曰、聖人吾不得而見之矣、得見君子者、斯可矣、子曰、善人吾不得而見之矣、得見有恒者斯可矣、亡而爲有、虚而爲盈、約而爲泰、難乎有恒矣、

子の曰わく、聖人は吾れ得てこれを見ず。君子者(くんししゃ)を見るを得ば、斯れ可なり。子の曰わく、善人(ぜんじん)は吾れ得てこれを見ず。恒ある者を見るを得ば、斯れ可なり。亡くして有りと為し、虚しくして盈(み)てりと為し、約(やく)にして泰(ゆた)かなりと為す。難いかな、恒(つね)あること。

現代語訳

先生がおっしゃった。聖人は私はこれを見たことが無い。せめて君子が見れれば、まあそれでよい。先生がおっしゃった。善のある人は、私はこれを見たことが無い。せめて心に一定の守るところがあり他人や状況に関わらず、正しい道を貫ける人を見れれば、まあそれでよい。(ところが世間の人は)無いのに有ると見せたり、からっぼなのに満ちているように見せ、貧乏なのに金持ちのように見栄を張っている。難しいことだなあ。心に一定の守るところがあることは。

語句

■約 貧乏なこと。 ■泰か 豊かであるように見栄を張っていること。 ■常ある人 心に一定の守るところがある人。他人や状況に関わらず、正しい道を貫ける人。

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現代語訳・朗読:左大臣光永