女は其の羊を愛む、我れは其の礼を愛む

子貢欲去告朔之餼羊、子曰、賜也、爾愛其羊、我愛其禮、

子貢、告朔(こくさく)の餼羊(きよう)を去らんと欲す。子の曰わく、賜(し)や、女(なんじ)は其の羊を愛(おし)む、我れは其の礼を愛む。

現代語訳

子貢は魯の国で、毎月先祖の霊に朔日を告げる儀式が行われなくなって久しいのに、いまだに羊を生贄にささげることだけは続いているのが無益なことだとして、廃止しようとした。先生がおっしゃった。「賜や、お前はその羊を惜しんでいるが、私は礼が失われることのほうが惜しいよ。形式だけでも羊を捧げることを続けていれば、いつか何かのきっかけで礼が復活することもあるかもしれない。しかし羊を捧げることをやめれば、もう礼は戻らないだろうから」

語句

■告朔 毎月朔日を先祖の霊に告げる儀式。すでに魯の国では行われなくなっていたが、羊の生贄をささげる儀式だけは形式的に残っていた。 ■餼羊 生きたまま捧げる羊。

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現代語訳・朗読:左大臣光永