罪を天に獲れば、祷る所なきなり

■【古典・歴史】メールマガジン
■【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル

王孫賈問曰、與其媚於奧、寧媚於竈、何謂也、子曰、不然、獲罪於天、無所祷也、

王孫賈問うて曰わく、其の奥(おう)に媚びんよりは、寧ろ竈(そう)に媚びよとは、何の謂いぞや。子の曰わく、然らず。罪を天に獲(う)れば、祷(いの)る所なきなり。

現代語訳

衛の大夫王孫賈が質問して言った。「部屋の神にこびるよりはむしろ、かまどの神にこびよ、という言葉がありますが、どういう意味でしょうか」

これは衛の主君ではなく、実権を握っている自分に従えと謎をかけたのである。

先生がおっしゃった。「あなたの考えは間違っています。罪を天に対して犯せば、いくら祈っても許されません。部屋の神やかまどの神など敬うに足りません。ただ天を敬うべきです」

語句

■王孫賈 衛の霊公に仕えた大夫。衛の権勢家。衛の国政を牛耳っていた。 ■奥 部屋の神。堂の後ろに室があり、その西南の隅を奥という。ここに部屋の神を祭る。 ■竈 かまどの神。夏の祭りで祭られる。 ■何の謂いぞや どういう意味ですか。謎をかけたのである。

現代語訳・朗読:左大臣光永

■【古典・歴史】メールマガジン
【古典・歴史】YOUTUBEチャンネル